LOG IN

白濁(二十)

by 野原海明

 三軒目にアパートの近くのエスニック料理屋で呑んでいたときには、だいぶ酔っ払っていたに違いない。ラム酒をロックでたらふく呑んだ。布袋さまのタグがついたラム酒、パイレート。

 他のラムよりも少し高いけれど、ラムネのようなすっきりとした甘さ、さらさらと飲めてしまう。高橋もおかわりをして、たぶん私と同じくらい飲んだ。熱を持って潤んだ高橋の目は、暗い照明を映してビー玉のように光っていた。

 店を出て橋を渡るときには、なぜかそうするのが当たり前のように高橋の腕に手を回していた。真夏なのに長袖の白シャツの布を挟んで、男性にしては細めの腕が熱を帯びているのを感じていた。

 途中、コンビニに寄ったらしい。らしい、というのは、朝起きるとテーブルの上にまだ飲むつもりだったのか、コンビニのビニール袋に入った缶ビールが二本、入っていたからだ。

 途切れ途切れの記憶を手繰れば、ふざけながら二人して押し入れから引き出した布団のシーツの白、台所の床に脱ぎ散らかされた長袖のシャツ、痩せぎすの胸板にアンバランスな大きな乳輪。

 高橋は執拗に私の体中に乾いたキスをした。手で触れるよりも多く、何度も何度も。顎に届くほどに伸ばしたまっすぐな髪が、私の頬をさらさらとなでる。間近で見ても、やっぱりビー玉のような目をしていると思った。澄んだその黒目には、同じように私の目が映っているはずなのに、合わせ鏡のように果てもなく深い。高橋の両耳に手を伸ばし、そのまま髪をかき上げて見る。こんなに暑いのに汗もかいていないのか、やはりさらさらと指の間をすり抜ける。

 高橋はゴムを持っていなかった。直前に体を離すと、ティッシュをつかみ取ってその上に出した。いつも坂井にそうしているように、口を寄せて舐め取ろうとすると、高橋は慌てて体をひねり片手で押し返した。

(つづく)

※この物語はフィクションであり、実在する人物や団体等とは関係ありません。

OTHER SNAPS